逃がしてしまったチャンス
ここで私の周りで以前あった例をお話したいと思います。
当時私は派遣社員として、とある大きな会社で働いていました。
そこで同じ派遣社員としてK美さんと知り合いました。
彼女は「ものすごい美人」というわけではありませんでしたが、
はっきりした目鼻立ちで、わりと目立つ容姿をしていました。
彼女は知り合った時、ちょうどフリーでした。
もちろん、それまでも何人かお付き合いをした人もいましたし、結婚を考えた相手もいたのですが、
女性から見ると非常に魅力的な性格が災いしたのか(笑)ちょうど「誰か素敵な人いないかな?」と探している時期でした。
彼女は、はっきり思ったことを言いますし、とてもさっぱりしているけれど、情に厚いところもあって
女性仲間からは、とても愛されていたので、よく一緒に飲みに行ったものです。
その日も一緒に飲んでいたのですが、彼女が、ふと
「女同士もすごい楽しいけど、あたしも彼氏ちょっと欲しいかなぁ」
と口にしました。
別にものすごく彼氏が欲しい、というわけではなさそうですが
その職場というのは、本当に女性ばかり。ワンフロア(結構広いんですが)に女性ばかり80人ぐらい。
男性はそのフロアの課長一人という状態。
その課長は独身の男性(30歳前後だったと思いますが)でしたが、おそらくどう考えてもその職場で
恋人は見つける気にはならないだろうな、というぐらいの無法地帯でした(笑)
そんな居心地の良すぎる職場環境のせいもあってか、刺激が欲しかったのかもしれません。
当時の派遣仲間は、基本的にみんな「派遣じゃないと駄目」という理由がありました。
結婚していて「共働きほど時間を制約されるのは困る」とか
「もうすぐ結婚するので、子供が出来るまで時間に融通をつけて働く」
「離婚して子供がいるので、派遣じゃないと保育園が間に合わない」など。
彼女は
「みんな、自分以外の人がいるよね。待っててくれたり支えてくれたり。自分のために働いているわけじゃなくて、誰かのためじゃない?そういうの、いいよね、なんか。頑張れるじゃない」
と、ぽつりと漏らしたのです。
……そう、彼女はそういう気持ちの支えになるものが無かったのです。
一人暮らしで、彼女曰く「ぼろアパート暮らし」で、
もちろん家賃や生活費のために働かなければいけませんが、それ以外のものが何もありませんでした。
「例えば好きな人の子供とか、いいよね。でもあたしそういう存在はいないし。そう考えると、まずは男だよね。」
その時私は、彼女の気持ちがとてもよく理解できました。
女だって甘えるだけじゃなくて、頑張るために誰かが欲しい!と思うんですよ!
そんな時、頭に一人の男性が浮かびました。
彼(Tさん)は、派遣を始める前に私が勤めていた職場の人でした。
とても誠実な人なのですが、少々口下手で、あまり女性が得意なタイプではありませんでした。
背も高く容姿に特に問題があるわけではないのですが、Tさんからは、積極的に女性に声をかけることはありませんでした。
私から言わせると、相談なども親身に乗ってくれるので「とてもいい人」でした。
……わかってます、男性にとってこの評価は厳しいですよね。
つまり、残念ながらTさんは誰からも「いい人よね」と評価されてしまうタイプだったのです。
ただ、それは職場での評価であって、そこで仕事を続ける以上派手なことも出来ませんでしたから、
職場以外のところで女性と知り合えば、また違う一面があるんじゃないか?
K美さんにとっても、Tさんにとっても、知り合うのはマイナスは無いだろう、と私は彼女にTさんを紹介することにしました。
ある金曜の夜、仕事の後一緒に飲もう、とK美さんが好きなスパニッシュ系のお店に3人で集まりました。
店では、ギターの生演奏が楽しめて、さらにフラメンコのショウが始まりました。
料理もお酒も申し分なく、TさんとK美さんは話がとても弾んでいました。
二人を合わせる前に、多少私も「話があわなかったらどうしよう?」と
心配はしていたのですが、そんなもの、まったく必要がありませんでした。
とにかく楽しそうに会話をし、食べて飲んで
TさんはとてもK美さんを気に入ったのが、はっきりわかりました。
彼女のはきはきしたしゃべり方も、楽しそうに笑って相槌をうっていたし、
くるくるよく動く瞳も茶色の巻き毛も、Tさんはまったく視線をはずすことなく、見つめていたのを覚えています。
宴会がお開きになった頃には、K美さんはすっかり気分良く酔っていました。当然、Tさんがアパートまで送り届けることになりました。
もう大人ですし私も気分が良かったので、そのまま二人を見送って
「週明けに話を聞くのが楽しみだな」と思っていたのです。
しかし。
週明けの月曜日に、K美さんが私を見るなり
「Tさんね、紹介してくれて悪いけど、私は付き合えない」と言うのです。
そりゃ、人それぞれ好みもありますから、仕方ありませんが
でも内心「なぜ!?何があったんだ!?というか何も無かったのか!?」と思いました。
そこで彼女の話を聞くことに。
「あのね、話すごい合ってたんだよ。ちゃんと送ってくれてね、ぼろアパートまで。部屋に運んでくれたし、
帰らないでって言ったら泊まっていったの。
やさしかったし、あたしはこの先つきあってもいいな、って思ってたんだよ。
なのに、次の日どこかに遊びに行こう、デートしようって出かけてね。
……その出かけた先で話した話って、あんたのことばっかり!あたしが目の前にいて、あたしとデートしてるのに、
あたしは付き合うつもりでTさんの話を聞きたかったのに、何であんたの話なの?
悪いけど、あたしTさんとはもう会わない。残念だけど!」
驚いた私は、あわててTさんに連絡をしました。
なぜそんな事になってしまったのか。
するとTさんは
「いや、俺も彼女のこと、すごい気に入ってたんだよ。
一緒に話してて楽しかったし、明るくていいなぁ、と思ったし。
付き合いたいと思ったよ。」
というのです。じゃあ、なぜ私の話をしたの!?と問い詰めると
「……だってさ、二人の共通の話題ってお前じゃん」
駄目だ。
ここで彼は「いい人」で終わっちゃったんだ。
話題なんて二人でいくらでも作れば良いのに!!!!
いかがですか?
自分の経験で、何か思い当たるようなことありませんか?
例えば、友達の彼女が紹介してくれた女の子とやり取りしていて
話題に困って、自分の男友達の話ばかりだったり
友達の彼女の話題や、その二人の付き合いの話ばかりだったり。
お互いに知っている「誰か」の話だったり。
実際に顔をあわせていても、メールでも同じです。
お互いを理解するためにやり取りしているのであれば、お互いの話をしなくては、距離は縮まりませんよね?
それを、当たり障りの無い話題のつもりで、他人のことをグダグダ言われたら、そういった話題を楽しいと思う女はいないと思います。
些細なことかもしれませんけど、こういうことでもチャンスはあっさり逃げていくのです。
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